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2012.04.30

油断ならないTailpiece/おがきちか Landreaall

GW前半、現在進行形で臥せっております。風邪が昨夕から今朝にかけてピークだった模様で、何もできないのをいいことに長編マンガの再読に勤しんでおりました。新作を読むのはまた今度、それはそれで集中力を使うので。

Landreaall(ランドリオール) 19巻 おがきちか 一迅社

1月発売の最新刊。何度か取り上げています。この作品、至るところに伏線が張ってあるので油断なりません。何気ないセリフや仕草が後の大きな物語のうねりに組み込まれることがしばしばあって、しかも気付いた時に原典を探し出すのが大変です。今回、隠し植物室でお馴染みウィフテッド教授の奥方・ロクサーヌの名もどこかで見たような見なかったような。槍試合の上手いワイアット、パーヴェルも、スピンドル事件の時に名前は出てるんですよね。もともと超越した主人公一人が活躍する物語より、登場人物全員の個性が映える群像劇が好きなので、このようにサブキャラまでが大事にされていると分かる作品は総じて好きです。そして ”Tailpeice”と題されたおまけマンガが只のおまけではなく、伏線や物語の解釈で必要な背景を過不足なく教えてくれるのが用意周到過ぎます。
   
面白い作品の骨格=世界観を構築するのも才能ですが、マンガは小説と異なり、多くは長期の連載の末に完結するという製作過程を取らざるを得ないため、物語を紡いでゆく上でそれは緻密な気配りを必要とするであろうと考えます。物語を緻密に作り込めばそれだけ矛盾を孕む可能性は高まるでしょうし、伏線を回収し損なっても、単行本書き下ろしという体裁を取れる小説とは違って連載作品は修正が利きません。連載時に気付けば単行本化までに可能なこともあるのでしょうが。ああ、その役目がTailpieceなんでしょうか。

いずれにせよ、ここまで緻密に物語を進めることができるのは、おがき先生自身がよほどこの作品を愛して過去の記載を血肉としているか、余程のブレーンが読み込んでサポートしているのではないかと思います。今のところ、読む気が削がれるような致命的な矛盾は私にはわからず、とことん読み込んで楽しめる作品として味わい尽くしております。一言で説明すると『カッコイイ王子とお姫様が大活躍するファンタジー冒険奇譚』とありきたりで見過ごされがちなのかも知れませんが、 読者をティーン女子向けだけに留めない骨太な物語、シャープな殺陣の描写、画力もあり、そして女の子は可愛く(これ重要)、総合力では大流行りしたハガレンをも凌いでいると思うのです。事象と心象を重層的に読ませる、少女マンガ家独特の文脈と構成力。だから深い。(ハガレンのマンガは私も大好きですが)各マンガ賞の選考委員の皆様にはもっと気付いて欲しいですね。

メインタイトルの頭文字に絵柄がかぶって読めません。大胆過ぎる構図。

これまで限定版・ドラマCDの類には手を出していませんが、またそれぞれに重要な小ネタがあるんやろなあ…主題に影響はないだろうと思いつつ、気にはなりますね。今度作者がサイン会で来阪するようで、勢いで買ってしまいそうです。

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