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2012年7月30日

2012.07.30

キリンの愛

もう十年近く前から愛飲しているビールがあって、その名も”樽生 一番搾り

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サーバサイズの缶の中に詰めたビールを、付属の極小CO2ガスボンベからの圧力で押し出し、空気に触れない新鮮なビールとキメ細かな泡を楽しもうという凝った造りの製品でした。しかし思ったように売れなかったのか、近所の酒屋で見かけなくなり、最後まで残っていたスーパーでは「1.5リットル六本セットなら仕入れて渡せるけれど…」と言われ、ついには通販でしか手に入らなくなりました。

最近は某プレミアムモルツに代表される味も香りも濃厚なビール全盛で、比較すれば樽生は素朴な麦とホップの味そのものの軽い印象。いや、決してライトビールではなく旨み十分だと思うんですが、すでに今の流行りの味ではなくなっています。新規の客は見込めないと踏んだのか、メーカーも専用サーバーセットの販売を早くにやめてしまっており、今飲んでいる人は過去に装置を手に入れた人のみ。

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扱い・手入れに多少コツが必要だったのも、普及しなかった一因かも知れません。それでも好きなもので、時々取り寄せては飲んでいたんです。しかしこの夏とうとう、経年変化かボンベカバーのあたりからガスが漏れてしまうようになり、ボンベをセットしてもうまく機能しなくなりました。装置はもう手に入らないものと思っていたので、せめて製造元で修理はできないかと問い合わせたところ…

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不調部分だけでなくボンベ全体が届きました!しかも、送料含めて全てタダ!
そうこうしているうちに今度は、ハンドルを握っていないのに中身がチョロチョロ漏れてしまう現象がおきるようになりました。またも部品を期待して連絡したところ、今度は担当の方、えらく丁寧に謝罪をして下さった上に”サーバセット全体を送らせていただきます”とまでおっしゃっていただきましたよ。「フタを開けて途中まで飲んでしまったビールについても弁償したいのですが、あいにくそれができません申し訳ありません」と、そこまで言ってくれるとは…

実は樽生、通販含めて今年いっぱいで完全に販売終了となる予定だったんです。そこへ去年の震災が起きて出荷できなくなったらしいのですが、ありがたいことに販売中止時期を一年先の2013年末にまで延長した経緯があります。新規客が見込めない、たぶん儲けの期待できない製品であろうというのに、律儀に販売時期を延ばし、減価償却のとうに過ぎた部品、さらに機器全セットを無償で送り、なんと手厚いことか。

きっとキリンの社内に、このビールをこよなく愛した人がいるのではないかと私は思っています。本当は販売を続けたいけれど叶わず、ならばせめて飲める間はファンの皆に美味しく飲んでもらいたい。そんな想いを感じます。
幸い(というのは不謹慎でしょうが)、あと一年半楽しめる状況になりました。サーバーセットもまだ交換が効くようです。精一杯飲み倒したい!本当にそう思わせるエピソードでした。

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